四代目又右衛門の頭の中を書いたブログ
MATAEMON'S THINKING BLOG
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今日は迎春用花材の松・千両の大産地 茨城の波崎を訪問。私が最初に、この地を訪れるようになって20年ぐらいになる。その間一度も欠かさずに毎年この地に来ている。
私が卸しを始めた頃は、新参者のため正直中々良いものが手に入れられずにいたが、数年間、根気強く、年に何度もこの地を訪れるようになり、やっと私の活動を認知していただくことができ、老舗問屋の皆さんと肩を並べられるようになり、今では、他社に引けをとることのないものを出荷していただけるようになってきた。ありがたい話である。
今日はまず、朝一番に農協に顔出しをして、順番に生産者をまわった。
最初は、結び松を出荷していただいている生産者を訪れた。
正直昨年は少し木が太くなりすぎて、物によっては扱いにくいサイズもあったが、今年はまずまず細めにも仕上がっていた。
中には、木肌が龍のようにも見えるものもあり、ピンときた私は、少しアレンジをさせていただき、新しい商品化を試したみたいとお願いしたところ、快く受けていただくことができた。今年はトライアルになるが、うまくいけば定番化してみたいと思っている。
ちなみにネーミングから売り先まで、私の頭の中では、ほぼイメージ出来ているので楽しみである。また皆さんにご意見をいただきたいと思っているのでよろしくお願いします。
いずれにしても、多くは出荷できないものなので今後も大事に育てていければと思っています。
そして枝若松の生産者を訪れる。毎年安定した品質のものをいただいており、今年も同じように出荷のお願いをしてきた。
またこの生産者さんも、新しいことに取り組んでいただけるパワーがあり、迎春商材以外の生産をしてもらえないだろうかなどのお願いもしてみたところ、前向きに検討していただけそうなので、地の利を生かした商材を提案し、委託生産をしていただけないだろうかと考えている。また来年以降が楽しみである。
そして、長い間お世話になっている助右衛門さんを訪問。
ここは私が仲卸を始める時に、この地での千両や松の供給に、まず一番にご支援いただいた生産者さんである。当時存命であった先代から色んなことを教えていただいたことの思い出は記憶に新しい。
その後を継いだ息子さんも、相変わらず支援いただいている。現社長はいろんなことにチェレンジする方なので、時折うまくいかない年もあるだろうが、それは彼の経験として積み上げられている。いずれにしても、彼のようにチャレンジすることは生産者にとってとても重要なことだと思う。是非、今後にも期待したいと思っている。
そして次は荒波農園さんを訪れた。
この生産者さんの特徴は、波崎屈指の選別での品であると言える。ここも先代からの厳しい眼による選別を行っていて、今も引き継がれている。販売の要を息子さんに渡し、作業を続ける厳しい眼は今も健在である。
今年、全国的に千両の実ののりや、松は色があまり良くない不作の状況ではあるが、例年通りとまではいかないかもしれないが、ここでは厳しい選別により、良い状況の品を選りすぐり出荷していただける。ありがたい話である。
今回はこれらの生産者さんを今年も周らせていただき、短い間だがお話をさせていただいて、皆さんが口にされるのは、やはり価格の問題である。
数年間掛かって作ってきた大事な花であり、年に一回の販売チャンスしかない品にも関わらず、安く販売されると正直継続が難しいとのこと。当たり前のことである。
かなり前からであるが、大量販売と言う名のもとに、価格を抑えての出荷を要求する量販店が多くある。でもしかしこのように年に一回のもので、今後減産傾向にある植物は同じように扱うのは、私は違うと思う。
確かに安く売る努力も必要だが、価値をきちんと認め、相応の価格で売る努力はもっと必要である。正月に松を飾る意味、千両を飾る意味、文化としての必要性をきちんと消費者に伝えることはできているだろうか?私は疑問である。
そしてそれがきちんとできていないにもかかわらず、低価格販売で販促をかけるのは大きな間違いである。
私は生産者の努力を評価し、販売者との調整をきちんととって、持続可能なビジネスにしていかなければならないと常々思う。松や千両に限ったことではなく。
それこそが私たち川中の立場として、一番行わなければならないことではないだろうか・・・